[レポート]「読み手」×「書き手」×「作り手」トークセッション ~『10年後、ともに会いに』を肴に~

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[レポート]「読み手」×「書き手」×「作り手」トークセッション ~『10年後、ともに会いに』を肴に~


2014年9月11日、クルミドコーヒーにて、「読み手」×「書き手」×「作り手」トークセッション ~『10年後、ともに会いに』を肴に~を開催しました。

今日のトークセッションでは、「10年後、ともに会いに」著者・寺井暁子さんと、発行人・クルミドコーヒー店主の影山が出版後1年半の歩みをお話し、読んでくださった方の印象を聞かせていただいたり、参加者のみなさんと本のこれからを考えたりしました。

これまでも、出版するまでのことは、ブログやトークイベントで折に触れてご紹介してきましたが、「10年後、ともに会いに」を読んでくださった方のお話を聞かせていただくのは初めて。

特に印象に残ったのは、ひとりの若い男性から伺ったお話でした。

「1年前に手に取った時、周りから『これから何がしたいの?』と問われてうまく答えられず、まさにトンネルの中にいたんです。冒頭のページ(「はじめに」)読んで、同じように感じている著者が、その想いを持ちながら、旅に出たということに驚きました。

僕も10年前にピースボートに乗っていて、今年、この本を携えて、ときおり読み返しながら当時の仲間に会いに旅をしてきました。」

寺井さんは「この本を読んだ人が、大事な誰かに会いに行ってもらえたらいいなと思っていたので、その話を聞くことができて嬉しい!」と。聞いていた私も鳥肌が立つエピソードでした。

そしてもうひとつ、別の参加者の方から、

「出版記念パーティなど、発刊した直後のイベントはよく聞くけれど、なぜ1年半経って開催するのだろう? と考えていました。でも、今日、この本を手にしたそれぞれが本と過ごしてきた時間を知ることができ、『本を育ててきた』のだ感じました。」

との感想をいただいて、“本を育てる”という言葉も、心に残りました。

発行人の影山からは、

「今日は、1年半経った今だからこそ聞くことができるエピソードを受け取ることができた。それは開催してみてわかったこと。私たちはこれからも、5年、10年、20年かけて、ゆっくり届け、また受けとってくれた人から、受け取っていきたい。」

「当初は、受け取ってくれる人だけが読んでくれたらいい、という届け方を考えていたけれど、本自体の成長を感じられた今日を経て、この本にとって、多くの人に読んでもらわなければいけないんじゃないか、手にとってもらうことを怠けちゃいけないと感じた。」

という、決意にも似た想いが語られました。

寺井さんからは、

「出版してから1年半が経ち、最初のころは毎日のように本のことを考えていたけれど、今はほかの仕事も受けるようになり、自分自身も少しずつ変化してきました。また自分の知らないところに本が届き始めて、本自体が成長して行く感覚、自分の知らない時間を過ごしている感覚があります。

読んでくださった方の中にモヤモヤが残るように物語をまとめましたが、自分にもそのモヤモヤが返ってくることがあります。とくにガザやエジプトの現状などを周りから問われると、感情をその土地に向けて書いた自分が、いまは日本でメディアや友人からのニュースを通じて「見ている」ことを突きつけられます。自分は自分以外の人生を生きられないからこそ書かねばと強く思うのですが、彼らに会いに行きたいと思うこともあり...いろんな意味で旅の途中です。」

「本の中の個別のエピソードについて質問されるのかなと思っていたけれど、もっと大きな、みなさんにとっての「10年後、ともに会いに」についてお話を伺うことができて、私の方が宝物をもらいました。」

との言葉がありました。

トークセッション終了後には、期せずしてサイン会のように。

すでに本を持っていてくださる方が、ご友人への贈り物に、とお求めくださることもあり、とても賑やかな会となりました。

またこうして、みなさんとお話しする機会をつくりながら、本を育てていこうと思います。

(クルミド出版 小島 理絵)