[レポート] クルミドギャラリーVol.3「旅人、本をつくる〜10年後、ともに会いに〜」

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[レポート] クルミドギャラリーVol.3「旅人、本をつくる〜10年後、ともに会いに〜」

2013年3月7日、クルミドギャラリーvol.3
「旅人、本をつくる」が開催されました。

13:00-18:30の時間帯はオープンギャラリーということで
『10年後ともに、会いに』の著者、寺井暁子さんと共に旅をした服、靴、バックパック。著者が切り取った各地の様子や友人たちの写真が展示されました。

これまでは本に書いてある文字情報だけで、「スロバキアの街はどんな感じなのだろう」「イブラヒムさんはどんな顔をしているのだろう」などと、著者の旅の風景を色々想像していたのですが、今回のギャラリーで具体的な場所や著者の友人の写真を見る事で、最初に本を読んだときとはまた違う旅の物語に吸い込まれるような不思議な感覚になりました。

19:30からは第2部ということで
本のデザイン・装丁を担当した畑文恵の進行の下
寺井暁子さん、影山知明でトークセッションを行いました。

会社を辞め、旅に出ることを決意したときから、クルミド出版から本が出るまで。その局面局面での出来事を一つずつ振り返っていく中で、会の最後に話題に挙がったのは「27歳で会社を辞めたときの事について」

「何で旅に出るの?」「それをして何の意味があるの?」

周りからはわかりやすい説明ばかりが求められ、寺井さんも旅に出る事を躊躇したと言います。そんな彼女の背中を押したのは、「いつかみんなを訪ねに世界を旅する」という17歳のときの自分との約束。「10年たって結局やりたいと思った事をやらなかった人」よりも「10年かかっても、やりたいことをやった自分」になりたいと思ったそうです。

不安でいっぱいになりながらも、いざ旅に出る事を決意すると、 仕事がいいタイミングで一段落ついたり、周りの人の目が変わったり—
「本をつくるときも同様だったけれど、腹をくくった瞬間、追い風が吹くんですよね」と寺井さん。

影山がこの話を受け「レールを失った代わりに触覚を手に入れ、周りの事をキャッチ出来たり身を委ねたりする事が出来るようになるということってあると思うんです」と言うと、会場からもうんうんと頷きの声が。寺井さんに吹いた追い風は、レールの上を外れた事によって寺井さんが触覚を手に入れ、周りの物事をキャッチし、身を委ねる事が出来るようになったことによるのかもしれないとふと考えました。


                    (クルミド出版 今田順)