『10年後、ともに会いに』
『10年後、ともに会いに』
それは17歳の自分との約束。
「いつか、友を訪ねに世界を旅する」
27歳。
思春期を一緒に過ごした仲間たちは今、
世界のどこかで、揺れながら生きているのだろうか。
「ねえ、あなたにとっての光と影ってなに?」
この旅で会う人たちに聞いてみたかったことが自然と口をついた。
それをかなり直接的な言葉で聞いたことに、自分自身が驚いた。
ホゼはしばらく考えて言った。
「光はまだ知らないこと、影はすでに知ってしまったこと」
向き合って座る私との真ん中辺りを見つめながら、
ホゼはさらに自分の考えの中に入り込んでいく。
「僕は未知に惹かれるんだ。すでに知っていると思うことは危険だ。
それは心地良い場所かもしれない。
でもそれは、人が考えることを辞めてしまう場所でもある」
私とは逆の光と影。
「光と影 <ウィーン>」より
旅はヨーロッパ、北米を経て
イスラエル・パレスチナへ。
そしてエジプトで革命に出会う。
「迷ったときはどうやって決めるの?」
「それは教えないよ。だって君は答えを知っている」
トンネルの向こうに見えたものは、なに?
作品名:10年後、ともに会いに
著 者:寺井暁子
発行日:2012年10月1日
単行本:408ページ
デザイン・装幀:畑文恵
地図:中村雄吾
本文印刷:中央精版印刷
表紙・製本:美篶堂
寺井暁子(てらい・あきこ)
1982年下北沢生まれ。16歳の時にユナイテッド・ワールド・カレッジのアメリカ校に派遣され、80カ国近くの国と地域から集められた同世代と2年間をともに過ごす。マカレスター大学地理学部卒業。その間にチリ短期留学。卒業後に帰国し、通信会社、ビジネスコンサルタントを経て、旅と物書きのためにフリーで活動を始める。
好きなこと。あてもなく散歩すること。知らない言語の歌を聞くこと。居間のソファーで会話すること。楽器を触ること。焚き火。